労働者は、働かなければ生きていくことはできません。
生きていくためにはお金が必要です。
ですから、どんなに好きな仕事であったとしても、その対価としての賃金が出なかったり、少なかったりすれば、働き続けることはできません。

働いて、自分や家族の生活のために必要なお金が手に入ること、これが一番大事なことです。
それだけでなく、労働者は、働くことを通して自分自身を人間的にも成長させ、技術・技能を向上させること、社会の貢献することなどを望んでいます。
自己実現とも言われますが、こうしたことができる職場というのは、働く仲間が協力し、教えあい、人間的にも絆を深めなければできません。

ところが、資本主義の社会というのは、儲けるために会社をつくるのですから、会社の儲けが第一に考えられてしまう社会です。
もちろん、会社は利益を上げなければ存続できませんから、儲けることは大事です。

そうであっても、現在の日本の在り方は、あまりにも行き過ぎています。
派遣労働に象徴的に見られるように、会社の儲けのために労働者を物扱いにし、使い捨てる社会は異常です。
運よく正職員で採用されても、成果主義で効率ばかり追求させられ、他人と競争させられる。
そこには、自己実現には程遠い現実があるのではないでしょうか。

会社が儲けても、会社役員と株主だけが儲けの配分にあずかり、会社の儲けを生み出すために汗水たらして働く労働者の待遇は一向に良くなりません。

そこで、労働者は、
(1)不満はあるが、文句も言わず会社の言うとおり働き続ける。
(2)会社を辞めて別の会社に移る。
(3)働きやすい職場、生きがいの持てる職場に変えていくためにがんばる。
のうち、いずれかを選ばざるを得ません。

労働組合は、(3)の道を選択し、よりよい職場にしていくためのツールです。
このツールは、ただのツールではありません。
憲法と労働組合法という後ろ盾を持っており、働くものがこのツールを手にし、うまく活用していけば、明るく未来を切り開くことができる優れものなのです。

ガススタンドを経営するC社で働いていたA子さんが、前に勤めていたガススタンドB社の仲間に紹介され、「解雇されたが何とかできないか?」と県労連に相談してきました。
一人でも加入できる労働組合に加入し、会社と交渉して職場にもどることができました。
そのA子さんが「また、B社に戻れないだろうか?」と言い出したのです。

事情を聞いてみると、A子さんは以前B社で働いていたのですが、「労働条件が良いから」という理由でB社を辞め、C社に移ったとのことです。
その後B社では労働組合が結成され、A子さんが解雇問題に遭遇した時点では、B社の労働条件がC社の労働条件を上回っていたのです。

"働きがいのある職場をつくること"、そのためには労働組合が必要です。

もっと詳しく学習したい方は、労働組合づくりの基礎知識が参考になります。