先に管理人のよもやま話に、労災隠しで先行き不安 ユニオン加入で補償要求の記事をアップしました。

普通の事業であれば、労災補償は労働者を雇っている企業が責任を負わなければなりませんが、建設業、土木業の場合は元請企業が補償することになっています。

労働基準法第八七条第一項は「厚生労働省令で定める事業が数次の下請によって行われる場合においては、災害補償については、その元請負人を使用者とみなす。」と定められています。

労基法第八七条第一項にもとづいて、厚生労働省令(労働基準法施行規則)第四八条の二では「法第八十七条第一項の厚生労働省令で定める事業は、法別表第一第三号に掲げる事業とする。」となり、その法別表第一第三号は、「土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業」となっています。

このように土木・建設の事業では、数次にわたる下請企業の労働者は、すべて元請企業が労働災害に関する責任を負うことになっています。

大工さん発注者から工事を請負ったA社(元請)が、下請けとしてB社と契約し(一次下請)、B社はC社を下請(二次下請)として使用する場合、A社の雇用する労働者だけでなく、B社やC社の労働者に起きた労働災害についても、A社が責任を負うことを決めているのです。

これは、下請企業には補償を負担する能力のない企業が多い事によるものと思われます。

余談ですが、私が知り得る範囲では7次下請というのもありました。すごいですね。

ただし、補償されるのは労働者だけですので、B社やC社の経営者が事故に遭っても保障されません。
そのため、労災保険法では1人親方などの特別加入を認めています。

できれば、労働安全衛生法の特定元方事業者や建設業法の元請責任なども参照すると良いでしょう。
ただし、建設業法では元請という用語は、仕事を発注する側を指す言葉となっていますので、上記の例で、B社がC社と下請契約を交わす場合には、B社も元請となりますので、用語の違いには気をつけましょう。