労働者が退職(離職)すると、それに伴い社会保険と雇用保険の資格喪失の手続をしなければなりません。

社会保険の資格を喪失することにより、国民健康保険や国民年金制度に移行することができ、雇用保険から失業給付を受けることができるようになります。

これらの手続は、手続すべき期間が法律で決まっています。

雇用保険法施行規則第7条(被保険者でなくなつたことの届出)「事業主は、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことについて、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第四号。以下「資格喪失届」という。)に労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳その他の当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの事実及びその事実のあつた年月日を証明することができる書類を添えてその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。この場合において、当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの原因が離職であるときは、当該資格喪失届に、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める書類を添えなければならない。

健康保険法施行規則第29条(被保険者の資格喪失の届出)「被保険者の資格の喪失に関する届出は、当該事実があった日から五日以内に、健康保険被保険者資格喪失届を機構又は健康保険組合に提出することによって行うものとする。」

厚生年金保険法施行規則第22条(被保険者の資格喪失の届出)「被保険者(船員被保険者を除く。)の資格喪失の届出は、当該事実があつた日から五日以内に、厚生年金保険被保険者資格喪失届(様式第十一号)又は当該届書に記載すべき事項を記録した磁気ディスクを機構に提出することによつて行うものとする。」
 

ここで言うところの「当該事実があった日」とは、退職の日ではなく資格喪失日です。

退職する日は、まだ被保険者としての資格はあるのですから、退職日の翌日が資格喪失日となります。

ところが、この期限を順守しない会社も多いのです。

手続が遅れれば遅れるほど、労働者は不利益を被ることになります。

健康保険では、無保険状態が続き、一時的には医療費を窓口で負担しなければならないとか、離職の日から20日を過ぎると任意継続加入ができなくなるなどが考えられます。

年金も、遡及して保険料を払わなければならなくなり、一度に数カ月分の保険料を負担することが考えられます。

雇用保険は、生活の頼みの綱である失業給付や職業訓練がすぐには受けられない。また、給付は1年以内に受給しなければなりませんので、極端に手続が遅れると給付が途中で打ち切られることにつながりかねません。

弱い立場の労働者が離職によって不利益を被らないよう、事業主と社会保険労務士は迅速な処理をしてほしいものです。

会社がなかなか離職票を発行してくれないなどのお悩みをお持ちの方は、全労連(全国労働組合総連合の)のフリーダイヤル 通話料無料の 0120-378-060 までお気軽のダイヤルしてください。

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