企業に使用されているのに、請負や委託などと呼ばれ、労働者扱いされずに個人業者の扱いを受けている人たちがいます。
こうした人たちは、労働基準法で定められた労働者としての権利は保障されず、雇用保険もない、労災保険も適用されない等々の不利益をこうむっています。
しかし、労働者かどうかと言うことは、請負や委託などの契約書の表題がどうあれ、労働者の働き方によって決まります。

労働基準法では「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」を労働者としています。

労働者か個人事業主かの判断ポイントは、「使用される」というところです。
企業がAさんを使用しており、Aさんが企業に従属している場合、使用従属関係にありますので、Aさんは労働者と言えます。

使用従属関係があるかどうかという点については、下記のような点が考慮されます。

①使用者の仕事の依頼、仕事に対する指示に対して、拒否できるかどうか。つまり、諾否の自由があるかどうかです。

②仕事の内容ややり方について、具体的に指示を受けているかどうか。つまり、指揮命令を受けているかどうか。

③使用者から指示された業務を、他の者(例えばAさんが指示された仕事を、Aさんの依頼を受けたBさんが)ができるかどうか。つまり、代替が可能かどうか。

④勤務の場所や時間が自由でなく、拘束されているかどうか。

といったような点です。

その他に、上記の点を補強するものとして、

○仕事に必要な器具や資材等はだれが準備するか。
○通常予定している業務以外の業務を、使用者の指示を受けてすることがあるかどうか。
○報酬が他の労働者と比べて高いかどうか
○会社の制服の着用が義務付けられているかどうか

等々の点があります。

厚生労働省は、バイクや自転車で書類などを運ぶ運転者について実態を調査し、2007年9月、
①仕事のやり方の指揮命令を受けている。
②勤務日・時間が指定され、出勤簿で管理されている
③仕事を他の人に委託できない
④欠勤すれば報酬が減らされる―として、
「使用従属性」があると判断しています。