全労連(全国労働組合総連合)は、ディーセントワーク(decent work)実現の運動を全国的にすすめています。
全労連の加盟組織の一つである沖縄県労連も、もちろんそれなりの運動に取り組んでいます。
では、ディーセントワークとはなんでしょうか?
全労連新聞(2010年10月15日)号に掲載された、ILO駐日代表の長谷川真一さんおコメントを紹介します。
「すべての労働者にディーセントワークを」とは、21世紀にILO(国際労働機関)がめざすものを一言で言い表したもので、1999年にソマビア事務局長が提唱した。端的に言えばILO条約の水準を満たす仕事がディーセントワークである。
ディーセントワークを構成する要素はいくつかある。まずは、雇用があること。
次に雇用の場において権利が確保されていること。つまり労働基本権(団結権、団体交渉権、団体行動権)が保障されていて、強制労働や児童労働がないこと、男女差別や人種差別がないことだ。
そして、社会的保護がある。これは労働基準法で言われる最低限の労働条件(8時間労働制や最低賃金など)の確保と、安全衛生(危険で有害な仕事でない)が保障され、社会保障(年金、医療保険、雇用保険、労災保険など)を受けられることだ。
最後に、社会的対話の機会が保障されていること。労使の対話や参加、個人が不満をもったときにモノが言える仕組みなどがこれに当たる。
国際社会では、2005年9月に行われた国連世界開発サミットで初めて国際社会の目標に挙げられ、昨年のピッツバークサミット(G20)でも、「雇用なき経済回復」が問題になり、経済政策は雇用を中心としたものでなければならないことが明確にされた。
労働組合としては、ITUC(国際労働組合総連合)が08年からディーセントワーク国際デーを設定し、全世界で一斉に労働者が立ち上がっている。全労連のディーセントワークデーもディーセントワークを広げるために大切な取り組みだと考える。
「ディーセント」という言葉は、 「グッド(よい)」とか「エクセレント(上等な)」ではなく、憲法25条でいう、「健康で文化的な最低限度の生活」という水準で、「まっとうな」とか、「まともな」「品がいい、慎み深い」などの訳語があてられる。「ディーセントワーク」という言葉は、英語圏に住む人でもなじみがない。ILOが作り出した言葉であり、日本では「働きがいのある人間らしい労働」と訳されている。