コロナ労働相談

ホテルの清掃などを請け負うS・TEC(エステック)、C-TEC(シーテック)は、コロナ禍の5月から6月にかけて、大量の従業員に退職届を書かせています。

これもいろいろ問題はあるのですが、今回は雇用保険に限って書くことにします。

この両社には、雇用保険の被保険者資格(週20時間以上の労働)を有しながら、雇用保険加入の手続きをとってもらえない労働者がたくさんいます。退職しても失業給付がもらえない状況に陥れられたのです。

うまんちゅユニオンとうりずん支部は、両社との団体交渉で「法令を遵守する」ことを約束させました。

法令遵守のなかには、当然被保険者資格を有する離職者にたいして、遡及加入を行うことも含まれます。

労働保険の保険料の徴収等に関する法律第41条(時効)は「労働保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する。」と定めています。

ということは、2年遡って加入することができる!ということになりますから、「雇用保険に加入させてもらえなかったから」と、諦めることはないのです。

雇用保険の手続きを取らない事業主は、何もS・TEC(エステック)やC-TEC(シーテック)に限りません。

沖縄県労連には、「19年間、板前として日本料理屋で働いてきた。コロナで客足が遠のき、経営が厳しいからと解雇されたが、雇用保険に入ってなかった」などの相談も寄せられています。

雇用保険法第7条は「事業主は、その雇用する労働者に関し、被保険者となったこと、被保険者でなくなったことについて、厚生労働大臣に届け出なければならない(要約)」と定めています。

この届出を行った場合は、雇用保険法第83条「事業主が、第7条の規定に違反して届け出をせず、または偽りの届出をした場合は、6箇月以下の懲役又は300,000円以下の罰金に処する。(要約)」と定めています。

雇用保険法は、罰則を置いて事業主にその遵守を求める法律です。

事業主が法人か個人かを問わず、週労働20時間以上働く労働者を一人でも雇用した時は、雇用保険法に基づいて届け出をしなければいかないのです。

S・TEC(エステック)、C-TEC(シーテック)は当初「入りたくないという人もいるんですよ」などと言い逃れようとしていましたが、そんな言い逃れは通用しません。結局「雇用主としての義務を果たす」と言わざるを得なくなりました。

S・TEC(エステック)、C-TEC(シーテック)を離職した方で、雇用保険の手続きをとってもらえなかったという方は、沖縄県労連 098-859ー2110に直接ご連絡いただくか、全労連のフリーダイヤル 0120-378-060 までお気軽にご連絡ください。フリーダイヤルはお近くの全労連加盟組合に繋がります。

もちろん、ご相談はS・TEC(エステック)、C-TEC(シーテック)に限りません。どなたでも、お気軽にご相談ください。

諦めればそれで終わりです。諦めなければ道はきっと開けます。