南城市の認可保育園で調理場主任として働いてきた労働者が、園長からのパワハラ・いじめ・嫌がらせがあまりに酷いため、退職せざるを得なくなりました。

本人や元同僚の陳述書によれば、牛乳の数が合わないからと泥棒扱いし、「持ち物検査しようか!」と怒鳴る。

この件は、後日園長の夫の確認ミスが原因であることが判明しています。

また、トイレ掃除はちゃんとしたのに、チリが落ちていたと責め立てるので、もう一度トイレの掃除をする羽目になった。

給料日には、その労働者だけに支払わず、支払い日を遅らせる、等々。

それだから、離職票の離職理由の本人チェック欄には、Ⅱ「解雇」等により離職した者のうち、⑨上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者」の項にチェックを入れて、職安に提出しました。

離職票には、本人及び元同僚二人の陳述書(雇用保険受給資格決定に係る陳述証明書)を添付して提出してあります。

提出から1か月が過ぎた頃、職安から呼び出しがあったので出かけていくと、職安の担当者は「正当な理由のある自己都合退職として手続きを進めます。給付制限期間がなくなりますので、早く受給できます」と告げています。

何で私が園長にいじめられていたことを認めてくれなないの?
私は、自分の都合で辞めたわけではない。
子どもたちに安全で美味しい給食を食べてもらうことは喜びだったし、長く働きたいと思っていた。
その気持を断ち切ったのは園長の酷い仕打ちがあったからだ。
早く受給できるとしても、嬉しくないし、むしろ悔しい。

そんな思いで、県労連を訪ねてきたという次第でした。

雇用保険を受給するには、通常自己都合で退職すると待機期間7日に加えて3か月の給付制限がありますので、食いつなぐことができる程度の貯蓄がある方は別としても、多くの労働者は生活に困難します。

職安が告げた「正当な理由のある自己都合退職」は、特定理由離職者に該当し、給付制限が免除されます。

それに対して、いじめ・嫌がらせ・パワハラ等で退職した場合は、特定受給資格者に該当し、「 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者」と同様に扱われるので、給付日数に違いがでてきます。

相談を受けたその場で担当者に電話をいれて事情を尋ねると、担当者は「園長に対する調査はしていない」と明確に述べています。

その場は、「園長から話を聞かないうちに自己都合退職とはおかしい。正当な理由のある自己都合退職として手続きは進めて良いが、園長への調査の結果によっては、特定受給資格者に切り替える」ことを約束させ、結果を待つことにしました。

ところが、しばらくして、那覇職安は「園長がパワハラと認めないので、特定受給資格者としては認められない」と決定し、本人に通告したのです。

そういう事情で、一緒に審査請求を考えることにし、下記の点を柱とする審査請求書を雇用保険審査官に提出しました。

1 これまでの経過からみて、園長に調査を行ったかどうか疑わしい。

2 特定受給資格者の認定に際して、相手がパワハラと認めるか否かは要件となっていない。

3 相手がパワハラの事実を認めないとしても、そもそも、パワハラを働いた加害者が、加害の事実を容易に認めることは稀である。

4 加害者と被害者の言い分に相違があるとしても、特定受給資格者として認めるかどうかは職安所長であって、労働者が提出した証拠に基づき、公正な判断を行うことが職安象徴には求められる。

それから2か月ほど経過した先週、特定受給資格者として認定するとの連絡がありました。

報告によれば、園長もパワハラの事実を認めたとのことです。

特定受給資格者の認定により、他に職を見つけて就職していた労働者には、就職支度金が支払われることになりました。

何より、「園長のパワハラが認められたことが嬉しいし、公正な判断をしていただいた審査官には感謝の気持ちが一杯です。」と、労働者は語っています。

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