沖縄県浦添市の寝具販売業で働いていた元従業員らが、在職中の残業代等の支払いを求めて争っていた裁判で、7月22日、那覇地方裁判所は労働者の主張をほぼ全面的に認める判決を出しました。

この裁判では、いくつかの争点で争われましたが、そのうちの消滅時効と解雇、付加金について紹介します。

(1)消滅時効について

被告は平成17年11月12日以前の請求権について、消滅時効を主張しています。
つまり提訴が、平成19年11月12日ですので、それから遡って2年前の請求については時効となっている、との主張です。

経過を記載すれば、原告らは、うまんちゅユニオンに加入し、5月14日に内容証明郵便で、団体交渉申入れを行い、要求事項として残業代等を請求しています。

裁判所は、5月14日に催告し、11月12日に提訴しているのであるから、消滅時効は中断したことになると判断しています。

(2)解雇について

この裁判では、被告代表者が3月12日の朝、原告らに「販売店規約」を提示し、「今日から実施する。この内容が嫌なら、要らないから出て行ってくれ」と述べたことが、解雇に当たるかどうかも争われました。

原告のうち早い人は3月20日頃に退職し、遅い人は5月頃に退職しています。

原告らは、労働者としての労働契約を一方的に破棄し、販売店規約による個人事業主とされたものであるから、解雇にあたると主張。

これに対して、被告は労働条件の変更であって、解雇の意思表示ではないと主張していました。

裁判所は、「労働契約とは別個の、被告と従業員(販売店)間の新たな契約(従業員(販売店)が自己の計算で被告商品の販売等を行う販売代理店のようなものといえようか)と解される」等として、「労働条件の変更にすぎないということもできない」と判断しています。

そして、本件解雇は不法行為にあたるとして、逸失利益と弁護費用の支払いを命じています。

(3)付加金について

原告らは、付加金の支払いを請求し、基本的には請求は認められました。
ただし、提訴した11月12日以降に支払期日が到来する未払いの残業代等に対する部分が認められ、それ以前の分については認められませんでした。

私は、請求する残業代等に対する時効は、5月14日で中断されており、その間の残業代等の支払いが認められれば、その部分についても付加金は認められるものと考えていましが、裁判所の判断はそうではありませんでした。