アメリカでのサブプライムローンの破たんをきっかけに、世界中が大変な経済危機に陥っています。

金ころがしで金を儲けようとするカジノ資本主義と、日本の場合外需に頼り、国内の購買力を低めるような賃金抑制、削減策をとってきたことにより、影響が大きくなっています。

そのあおりを受けて、新卒者の内定取消しが相次いでいます。

採用内定は難しい法律用語では「始期付解約権留保付労働契約」と言われています。

○○月○○日付で採用しますよ。
ただし、何らかの事情が生じた場合には、解約しますよ
簡単に言えば、そんなような内容です。

この何らかの事情が問題です。

休職者側の都合では、大体
 卒業見込みで内定したが、卒業できなかった
 健康状態が悪化した
といったことが挙げられます。

それでは、会社側の都合はどのようなもとが考えられるでしょうか?

会社が採用内定を取消すには、基本的には「内定通知書」に記載されている「取消事由」に該当しなければなりません。

ですから、「経営状況が悪くなった」程度のことで、ただちに採用内定の取消しが認められるわけではありません。

最高裁判所は「解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的で合理的と認められ、社会通念上相当と是認することができるものに限られる」と判断しています。

労働契約法第16条は、採用内定取消しにも有効なのです。

採用内定取消しをめぐっては、労働審判事件として申立てがなされている事例もあり、その事件でも採用内定の取消しは認められませんでした。

 大日本印刷の内定取消事件に関する最高裁判例