労働者が仕事を失った時に、失業中の生活を支えるのが、雇用保険の失業給付です。
雇用保険では様々な給付を行っていますが、それらの中心となるものは何と言っても失業給付です。
失業した時に、実際いくら失業給付がもらえるのか、何日分もらえるのか、ということは切実な問題です。
国民は、どのような事情のもとであれ、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(憲法第25条)のですから、失業給付は失業流の労働者とその家族が、「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ことができる水準でなければなりません。
しかし、実際には本来のあるべき姿からかけ離れ、離職前6か月の賃金水準の応じた失業給付になっています。
それも、以前は6割から8割の範囲であったものが、今では5割から8割の範囲に給付水準が切り下げられています。
実際に失業給付はどれ程度もらえるのでしょうか。
8月1日から変更になった基準に基づいて計算してみましょう。
失業給付の計算は、離職時の年齢と賃金日額の組み合わせによって、下記の表のように給付率が異なっています。
29歳以下の場合
賃金日額(w) | 給付率 | 基本手当日額(y) |
2320円以上4840円未満 | 80% | 1856円~3711円 |
4640円以上11740円以下 | 80%~50% | 3712円~5870円(※2) |
11740円超12880円以下 | 50% | 5870円~6440円 |
12880円超 | ー | 6440円 |
30歳から44歳の場合
賃金日額(w) | 給付率 | 基本手当日額(y) |
2320円以上4840円未満 | 80% | 1856円~3711円 |
4640円以上11740円以下 | 80%~50% | 3712円~5870円(※2) |
11740円超14310円以下 | 50% | 5870円~7155円 |
14310円超 | ー | 7155円 |
45歳から59歳の場合
賃金日額(w) | 給付率 | 基本手当日額(y) |
2320円以上4840円未満 | 80% | 1856円~3711円 |
4640円以上11740円以下 | 80%~50% | 3712円~5870円(※2) |
11740円超15740円以下 | 50% | 5870円~7870円 |
15740円超 | ー | 7870円 |
60歳から64歳の場合
賃金日額(w) | 給付率 | 基本手当日額(y) |
2320円以上4840円未満 | 80% | 1856円~3711円 |
4640円以上10570円以下 | 80%~50% | 3712円~4756円(※3) |
10570円超15020円以下 | 50% | 4756円~6759円 |
15020円超 | ー | 6759円 |
上記の表のうち、赤字部分は上限額です。
現在、各地の最低賃金審議会で最低賃金の改訂論議がなされています。
すでに答申が出たところも多く、沖縄の最賃審議会も現行645円を8円引き上げて653円とする内容で答申しています。
29歳以下の労働者が、1日8時間、月22日、時給645円で働いたとすると、賃金月額は113520円となります。
賃金日額は、113520円×6か月÷180日で計算しますので、3784円となります。
3784円に該当する納付率は80%ですので、3027円となります。
注)実際に離職票に記載される賃金額は賃金月額の6月分であり、それから上の式により賃金日額を割り出すことになります。
また、賃金月額は基本給部分だけでなく、残業代や各種手当も含んでの総支給金額となりますので、ご自分で計算する場合はそれらの金額も除外しないでください。
次に、賃金日額が5000円と仮定した場合を計算してみます。
計算式は、y=(-3W²+70,720w)/71,000 となっていますので、式に当てはめて計算します。
そうすると、基本手当日額=(-3×5000×5000+70720✕5000)÷71000
=(ー75,000,000+353,600,000)÷71,000
=278,600,000÷71,000
≒3,923円ということになります。
給付率は約78%ですね。
厚生労働省のリーフレットにリックを張っておきます。さらに詳しくお知りになりたい方はご参照ください。
厚生労働省のページ「雇用保険の基本手当日額が変更になりました」
なお、基本手当は毎年8月に変更になります。上記のリンクは2012年8月1日から適用されるものです。