高江沖縄の過重な基地負担を、面積や米軍専用施設面積で表現することは多い。

翁長雄志知事は、国連演説で「国土の0.6%の面積に、米軍専用施設の73.8%が集中している。」と米軍基地の過重負担を訴えた。

あるいは又、県土の約1割、本島に限れば約2割が米軍基地と言う場合もある。

沖縄の慰霊の日である6月23日に、在日米軍司令部がフェイスブックで「日本における全ての米軍施設の75%か、それ以上が沖縄に集中していると言われていることは、誤解であり、事実ではない」と投稿して、物議を醸したことは記憶に新しい。

在日米軍司令部は、在日米軍専用施設は85施設、そのうち沖縄には33施設があるので、その割合は39%となると言う。

一方で防衛省は、米軍専用施設の面積は約3万369ヘクタールで、沖縄には約2万2619ヘクタールがあるので、74.48%を占めているとしている。

国は「普天間基地より辺野古は面積が小さくなるから負担軽減になる」、「北部訓練場の過半が返還されるので沖縄の負担軽減」などと口にする。

安倍首相らには、その土地で暮らす住民の姿はまるでない。

海や森の自然環境も、ジュゴンやノグチゲラ、ヤンバルクイナなど貴重な生き物の姿などもちろんない。

2015年10月6日、日米合同委員会は沖大東射爆場を共同使用することで合意した。

2014年に訪米した河野克俊統合幕僚長は、米軍幹部に対してキャンプハンセンやキャンプ・シュワブなどの共同使用強化を働きかけている。

キャンプハンセンではすでに共同訓練が行われているが、このような動きが進めば「米軍専用施設」が「共同使用施設」に変貌し、実際には負担が増えているのに、専用施設の減で負担軽減と主張されかねない。

9月29日付の琉球新報は下記のように報じている。

「米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイやその他ヘリコプターなどの騒音を理由に今年6月に東村役場に寄せられた苦情は約60件で、1カ月だけで2015年度通年の56件を上回っていたことが28日、分かった。」

今でさえそうである。ヘリパッドが全て完成した暁には、今より酷い騒音に悩まされるのは必至である。

このような状況下において、北部訓練場の過半が返還されたから「負担が軽減された」と考える住民が果たしているのだろうか。甚だ疑問である。

人間の生活の匂いがする指標、動植物の生命が見える指標を考える必要があるのではないだろうか。