沖縄県は、辺野古埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の採決は違法として、8月7日に裁判を起こした。
県が撤回した理由の一つに、「埋め立て区域周辺の建築物などが米国防総省の統一施設基準の高さ制限を超過している」がある。

米国防総省の統一施設基準では、滑走路から周囲2286メートル、高さ45・72メートルの範囲内に、建物等があってはいけないことになっている。辺野古新基地の滑走路は標高8・8メートルとなるので、高さ制限は54・52メートルとなる。

高さ制限内には、沖縄高専とその学生寮、久辺中学校、久辺小学校などの建物のほか、送電用鉄塔、携帯電話基地局などがある。

沖縄防衛局は、沖縄電力に対して、送電鉄塔や送電線について「高さ制限に抵触する工作物は飛行場の供用開始までに移設が必要として2015年に文書で協力を依頼」(2018年5月5月付沖縄タイムス)している。

ところが、沖縄高専などに対しては、高さ制限問題が明らかになるまで、通知一つしていない。つまり、隠しとおしてきたのだ。

事故が起これば、被害が大きくなるのは、多くの人々がいる高専や学校などの建物であることは、誰の目にも明白だ。

沖縄防衛局は、「国防総省の統一施設基準書にある適用除外規定を挙げ、『航空機運行の障害となることはないため、移転などの必要はない』と説明している。(前出タイムス)

鉄塔は支障があるから撤去が必要。

建物は支障がないから撤去しなくて結構。

この沖縄防衛局の理屈は、とても理解できない。

結局、高専や学校、多数の民家を立ち退きさせることになると、辺野古新基地建設に反対する世論が強まるので、除外規定を無理やり適用して取り繕っているとしか思えない。

「国民を守り抜く」との大言壮語の内実がこれである。