7月21日の参議院選挙に向けて、いつの選挙にも増して最低賃金問題が注目されている。

すくなくとも私はそう感じている。

市民連合と野党の共通政策の10番目には、下記のように盛り込まれている。

10 地域間の大きな格差を是正しつつ最低賃金「1500円」を目指し、8時間働けば暮らせる働くルールを実現し、生活を底上げする経済、社会保障政策を確立し、貧困・格差を解消すること。(以下、略)

全労連の仲間が各地で生計費調査を実施している。

その結果は、最低賃金ランクのA、B、C、Dに関わりなく、概ね時給1500円の収入がなければ人並みの生活が送れないことを示している。

最低賃金1500円は、労働者が「8時間働いて普通に暮らせる社会」を実現する上で、重要な課題であることは間違いない。

財源問題や中小企業への具体的な支援策も含めて、選挙戦のなかで大いに論争を展開していただきたいと、切に願う。

とは言え、多少の違和感が残るのも事実である。

時給1500円は、沖縄の最低賃金762円との比較で2倍の金額となる。

「1500円をめざす」と努力目標を掲げても、それが一体いつの実現をめざすのか明らかではない。

それよりも、沖縄に住む者にとっては、「どこでも、誰でも、時給1000円の最低賃金を3年(任期の半分)以内に実現する。」と掲げたほうが、より身近で支持を広げやすいのではないかと思う。

また、地域で有権者に支持を訴える先頭に立つであろう、各党の地方議員が自党の最低賃金に関する政策を理解しているかという点に関して言えば、まったくお寒い状況が存在すると言わざるを得ない。

これでは、仮に最低賃金政策を口にしたとしても、選挙目当てにしかならないのではないのか?

との懸念が残る。

沖縄県労連は、6月地方議会に向けて、「全国一律最低賃金制度の創設と最低賃金を1000円に引き上げることを求める陳情」を県下全市町村議会に対して行った。

その結果が各議会から届き始めたところだが、「議員配布」、「資料配布」の処理が多いこと、多いこと。

議員配布という措置は、議員のなかから「大事な案件なので議会での審議を」と声を上げれば、審議されることになる。

議員配布でとどまっているということは、時給1500円を政策として掲げる政党に所属する議員でさえ、スルーしていることを意味している。

こんな状況で果たして、1500円の最低賃金が実現するのだろうか?

国会での議論(それはもちろんとても重要だが)だけで、良いのだろうか?

地方議会からの意見書は、時として国政を動かす力をもっている。

国政と地方政治が結びついてこそ、一回り大きな力となると、私は確信している。

各党には、政策と同時にどのように実現していくのかとの道筋をも示していただきたい。