労働者に賃金不払いや長時間労働を強制しながら、労働基準監督署に申告しても、その是正指導に従わないなど、悪質な経営者もいるものです。

 労働基準監督官は、労働基準法違反について、是正指導することはできても、行政指導の範囲内では、会社の金庫を強制的に開けさせて、お金をとってくる権限は与えられていません。

経営者のひどい仕打ちに耐えかねて、労働基準監督署に駆け込んだ労働者にしてみれば、歯がゆい思いかも知れませんが、仕方のないことです。

とは言え、もっと毅然たる姿勢で指導してほしいという思いはありますが。

そのため、未払いになっている賃金を支払ってもらうためには、最終的には裁判所に訴えることになります。

労働基準法は、刑罰をもってその遵守を迫る法律ですので、このような悪質な経営者に対しては、刑事罰を与えることも、場合によっては考えられます。

 そのためには、刑事告訴することが必要です。

 刑事告訴とは、使用者の犯罪行為によって、被害を受けた労働者本人が「刑事罰を与えて罰するよう」訴えることです。

 ちなみに告発とは、その企業に法律違反があることを知った第三者が、訴えることを言います。

 先にも記したように、労働基準法は、刑罰まで定めた強行法規ですので、労働基準法違反での告訴・告発ができるのです。

 労働者が告訴しなくても、労働基準監督官が司法警察官として捜査を行い、書類送検する場合もありますが、より確実なものにするためには、労働者が告訴することがよいでしょう。