最賃審議会資料2月26日(2019年)の沖縄タイムス紙面に、小さな記事ではあるが「最賃審情報公開鳥取が全国1位」の見出しで、興味深いニュースが報道されている。

「最低賃金の決定過程を巡り民間団体が25日、各都道府県労働局の審議会の情報公開度ランキングを発表した。1位は鳥取で、最下位は東京。・・・沖縄は(50点万点の)26点で31位」とある。

このようなランキングが作られ発表されるということは、全国都道府県労働局に設置されている最低賃金審議会での情報公開が進んでいないことが背景にある。

沖縄地方最低賃金審議会が26点で31位という結果については、“さもありなん”と納得する一方で、沖縄よりまだ点数が低い所があるのに、「沖縄より悪いところがあるのか」と、ある意味驚きを禁じ得ない。

沖縄県労連は、2017年の最低賃金審議会の議事録を含めて情報の開示を求めたが、大事な部分は黒塗りのオンパレードで、これが何の文書なのかもわからない、つまり文書の標題までもが黒塗りになっているのだ。

最賃額を具体的に審議するのは専門部会でなされるが、答申額に至る調整額の提示などもすべて黒塗りとなっている。これでは、審議過程は外から伺い知ることもできず、最低賃金は密室のなかで決められているのである。

県労連は、毎年毎年「審議会・専門部会の公開」を要求しているが、労働局の回答は毎年毎年半を押したように「自由な意見の表明ができなくなる」というものである。

密室でなら自由に意見が言えるが、傍聴者がいると言えない委員というのは、自分の意見に自信がないのだろうか。

第1回専門部会で、一部公開に関する次のようなやり取りが議事録に残っている、一部要約して紹介する。

<部会長> 運営規程の条項には原則非公開となっているので、公開できる場合はどういう場合かということを整理する必要があるということです。・・・原則非公開としていて、こういう場合には公開していいですよと。こういう時には公開できるという手続的な規程を設けていた方がいいのではないかということです。他県はどうですか。

<事務局> 多くの都道府県労働局は原則非公開となっております。

<部会長> マスコミから公開で入りたいというのはありますか。

<事務局> 入りたいという要望はあります。(中略)場合によっては、労使委員の意見交換の場、それは多分4回目からになろうかと思いますが、それは公開して良いとのご判断がいただけるのであれば、それは公開にするということもあって良いかと思います。

<部会長> ただ、この運営規程をそのまま採用すると、それは出来ないですよね。運営規程ではどういう場合に公開できるか書いていないから。原則非公開だから。ただ、色々な議論の中で「この額になったんです。」という意見の過程が県民に知らされないのはいいことかなと思っています。

<使側委員> そのことによって、ある種、言いたいこともいえなくなうような雰囲気を醸し出すようなことは困りますので、そこは結果として、会長の方がマスコミに対して「こうなりましたよ。」というようなことを、囲みでもいいし、記者会見をなさったらいいのではないでしょうか。

<労側委員> 結果についての報告はよしとして、審議会そのものは従来どおりでいいのではないですか。

と、使用者側・労働者側ともに、一部公開にも難色を示している。

このようなやり取りを経て

<部会長> 規程の改廃は専門部会の議決に基づいて行うので、どの段階でも議決して変えられるのでしょうから、今年も一応、非公開とさせていただいて、私の方から問題提起もあったということをご検討下さい。

ということで、議論を打ち切っている。

部会長は、ただ単に問題提起してみる(というように見える)というのではなく、「県民に知らされないような専門部会で良いのか!」という点で、もっとしっかり議論すれば、旧態依然として密室審議・決定を変えられたのではないかと思われる。

事務局を担う労働局賃金室も意見交換の場は公開して良いとの判断がいただければ、公開することもあって良い」と表明しているのであるが、使用者側委員だけでなく、労働者側委員の公開に反対することによって、従来どおりの密室審議となっている。

話を前に戻して、「黒塗りだけではまったく審議過程がわからない。不開示部分も公開すべき」と行政不服審査法に基づいて審査請求を行ったら、総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」に回された。

労働局の不開示理由は、「印影は特定の個人を識別できる情報」とか、委員を推薦した私立大学、労働組合、使用者団体の印影の公開」は、「当該法人等の正当な利益を損なうおそれがある」等々となっている。

まるで、安倍総理や菅官房長官の、理由をすっ飛ばして「ご指摘には当たりません」を再現しているような理由が並んでいる。

「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)の目的は、「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資する」ことにある。

多くの地方最賃審議会で蔓延している民室審議が、情報公開法に照らしてどうなのか、ランキング発表を期に、しっかり考えてもらいたいと切に願う。