沖縄県南城市の認可保育園で働いてきた女性が、退職せざるを得なかったのは、法人理事長&保育園園長(以下、園長)によるパワハラ・いじめ・嫌がらせが酷かったのが理由だとして、うまんちゅユニオンに加入し団体交渉までこぎつけました。

女性は、パワハラ・いじめ・嫌がらせの事例としてたくさんあるなかで、代表的なものとして10事例に絞って、園長に示し、慰謝料を請求しました。他にも多少の残業代を請求しています。

そのうちから、二つ紹介します。

園長は、根拠もなく厨房職員が食材の残りを持ち帰っているのではないかとの妄想にとりつかれ、女性に対し、厨房職員を監視するよう指示して精神的苦痛を与えた。
女性は、朝から園長に別室に呼び出され、「牛乳の本数が足りない、どういう事か」と問い詰められる。園長はさらに、「心当たりはないか」、「あなたには不信感がある」、「かばんの中も調べるよ」、「私も用務員(園長の夫)も前日ちゃんと本数数えたんだから」等々、女性を泥棒扱いして一方的に叱責した。

女性は、心当たりがないことに対して、園長から泥棒扱いされて激しく責め立てられたため、身の潔白を証明するために、園のゴミ捨て場に行き前日のゴミ袋を開けて調べたり、園の各クラスを回って牛乳の空箱がないか探しまわったが、見つけることができなかった。
そこで、午後になって、園長に第三者をいれてやりましょう(「話し合いましょう」の意)と言ったところ、園長は「すみませんね。私と用務人の勘違いだった」と悪びれる様子もなく口にした。

団交では、園長は一言も口を開かず、代理人弁護士が

「1については、そんなこと言っていない」

「2については、牛乳は何本使ったかということを聞いたことはあるが、女性が主張しているようなことはない。女性が、第三者委員会を持ちたいと言っていたことは記憶にはある」

と回答して、他の8件についても、ほとんど「パワハラに該当する事実はない」というものでした。

当方が園長に何を聞いても、代理人弁護士が「代理人は私です」と言い、園長は一言も口を開かないので、とりつく島もないという状態になり、これでは堂々巡りになるばかりと判断して、団交は早々に切り上げることにしました。

しかし、女性が「第三者をいれてやりましょう」と切り出した時の、園長とのやりとりの概要は次のようになっています。( )内は、意味が通じるように補足した部分です。

女性 園長先生、牛乳の件ですけど、やっぱしもう第三者をいれてやりましょう。

女性の同僚 私なんか持って帰ったような言いようだったので、泥棒扱いだったじゃないですか

園長 お父さん(園長の夫で用務員)のミス。私は(あなた方に)不信感あって、お父さんにも確認して、あなた方にやってる訳よ。

お父さんにも昨日7時頃確認して30本あったと。

今日、お父さんに電話して「厨房大変なことになっているけど、あんた本当だよね」って確認したら、「自分は昨日は確認していない」としか言わない訳さ。

朝は、「自分も用務員も昨日確認した」と言っていたのに(本人は否定)、このやりとりでは、夫である用務員が全部悪いことになっています。

ここで、重要なことを園長は口にしています。

私は不信感あって、お父さんにも確認して、あなた方にやってる訳よ。」という部分です。

園長は、厨房職員が残った食材を持ち帰っているのではないかと不信感を持っている、とはっきり言っているのです。だから、お父さんにも確認して、昨日は牛乳の在庫が30本あったのに、今日の朝は25本しかなかった。だから「あなた方にやってる訳よ(「心当たりはないか」、「かばんの中も調べるよ」等)」

これ、私の認識では完全にパワハラに該当すると思うんですけどね。

1についても、園長は否定していますが、どちらの言い分が真実に近いか、推測できるというものです。

ちなみに、保育園は、女性の離職理由として「自己都合退職」欄にチェックしてありましたが、職安所長は、女性が申し立てた「上司や同僚によるパワハラ・いじめ・嫌がらせによる離職」を認め、特定受給資格者として認定しています。

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