株式会社エスティーエスを相手方として、うまんちゅユニオンの組合員Aさんがたたかっていた労働審判は、去る6月21日に審判がだされました。

14日の異議申し立て期間がありますので、現段階では「終結」とは断言できませんが、エスティーエス会長の「ブログに書いてくれ」との依頼に対して「審判調書が入手できた段階で書きます」と約束していたこともあり、審判調書が本日入手できましたので、たたかいの結論に対しては「見通し」として掲載することにします。

最初に、審判調書の主文を紹介します。

審判の主文

第2 主文

1 相手方は、申立人に対し、本件解決金として5000円の支払義務があることを認める。

2 相手方は、申立人に対し、前項の金員を、本件審判確定日から7日以内に、申立人へ持参又は送金して支払う。

3 申立人はその余の申立てを放棄する。

4 申立人と相手方は、申立人と相手方との間には、本件に関し、本審判に定めるもののほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

5 手続費用は各自の負担とする。

第3 申立てに係る請求の表示
申し立ての趣旨及び理由は、別紙労働審判手続申立書写し記載のとおり。

第4 理由の要旨
提出された関係証拠及び審理の結果認められる当事者間の権利関係並びに労働審判手続の経過を踏まえると、本件紛争を解決するためには、主文のとおり審判するのが相当である。

この主文の内容が、何に関するものか理解するために、本年1月26日付の労働審判手続申立書から、請求の趣旨を紹介します。

申立の趣旨

1 申立人が、相手方に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

2 相手方は、申立人に対し、2021年9月から本労働審判確定の日まで、毎月末日限り、月額金15万5940円の割合による金員を支払え。

3 相手方は、申立人に対し、金3660円並びに、うち金1872円について2020年2月1日から、金1788円について同年3月1日から各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

4 相手方は、申立人に対し、金1876円並びに、うぢ金1366円について同年4月1日から、金376円にづいて同年5月1日から、金134円について同年6月1日から各支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。

5 申立費用は相手方の負担とする。

との労働審判を求める。

審判主文は、申立の趣旨のうち、3項と4項に関するもので、双方の主張の概要は次のとおりです。

Aさんは、賃金から共済会費として控除されているお金は、本人の同意なく一方的に天引きされているから、賃金の未払いに当たるとして、合計5536円を請求し、併せて遅延利息の支払いを求めました。

主文は、請求した金額5536円から端数調整的に536円を切り捨てて5000円にしていると考えられます。

審判で、会社は、本人には説明している。共済会会長と会社との控除協定もある。以前争った賃金未払事件で清算条項を入れて和解しており請求は認められない等と主張しましたが、審判委員会はAさんの主張を認める内容となっています。

1項と2項はどうなった?

申立の趣旨1項は、「登録解除」とする2021年7月31日の懲戒処分は解雇であり、解雇権の濫用にあたるので無効である。

2項は、上記の1項を踏まえて、解雇期間中の賃金を支払えとの訴えです。

この点について、会社は、Aさんは登録型派遣労働者であり、登録解除は解雇ではないと主張し、Aさんは派遣労働者として雇用されていたのではないと、主張が対立しています。

そのため、Aさんは、3回で終わる労働審判では十分な審理を期待できないと考え、1項と2項を取り下げました。

このような経過を経ての審判ですので、共済会費に関する審判となっています。

解雇事案に関しては、機会があればお知らせいたします。