11月5日付の沖縄タイムスと琉球新報には、ダンプ労働者がストライキに突入したとの記事が掲載されている。
見出しだけ紹介すると、沖縄タイムスが1面に「ダンプ労組 スト決行 運搬単価アップ要求」、7面にも「運搬単価 苦境訴え ダンプ労組スト 過積載しわ寄せ」となる。
琉球新報には「運搬単価上げ要求 ダンプ運転手 採石場前でスト」とある。
紙面に踊る見出しだけでも、おおよその内容が推測されるものとなっている。
ストライキに決起した労働者は、生コン業者に直接雇用される労働者ではなく、生コン会社と契約を交わして砂利を運搬する、いわゆる車持労働者である。
これらの労働者は、これまで10トンダンプに17トン、ひどい時には20トンの砂利を採石場から生コン会社まで運んでいた。
運搬単価はトンあたり1,000円だから、17トンの過積載では17,000円、これが定量積みの10トンになると10,000円。
その差額7,000円が減収となる勘定だ。
運転手の話によると燃料代が7,000円かかるというから、残りは3,000円しか残らない。
3回往復したとしても9,000円にしかならず、仮に休みなく働いても月27万円。
これで生活を維持し、ダンプの維持費やローンを払っていくことなど不可能だ。
だからと言って、これまでダンプ労働者が進んで過積載を遂行してきた訳ではない。
過積載しなければ生活を維持し、ダンプを償却できないというヤムを得ない事情に加え、会社に対して定量積みを主張しようものなら“仕事を干されてしまう”からである。
勿論、過積載は根絶されるべきものである。
重量物を積んだダンプは制動距離が長くなり、危険である。
車体に規定以上の負荷がかかり、摩耗が激しくなり、道路の損傷も進行させる。
このような状況がありながら、過積載が根絶できない原因はどこにあるか。
突き詰めていけば、生コン価格の問題に突き当たる。
両紙の記事にも、運搬単価を引き上げられない理由として「市況が厳しい。(生コンを卸している県生コン協同組合に対する)販売価格が上がらないという現状がある。」(沖縄タイムス)、「販売価格を上げられないため運搬単価も上げられない。」(琉球新報)との業者のコメントを載せている。
そうであれば、問題は生コン業界と生コンを購入する建設業界が本気になって過積載問題を解決するために取り組むことが必要であり、そうしなければ過積載問題を解決することはできないことになる。
労働者の犠牲の上に成り立つ業界であってはならないし、過積載でダンプ労働者が切符を切られ罰金を払わされて一見落着とされてはならないのである。
沖縄県は建設業が県経済に占める割合が高く、そのうちでも公共工事が牽引している。
発注する県や地方自治体も決して対岸の火事ではない。
とりわけ、交通安全に責任を負う県知事(沖縄県交通安全対策会議議長)が先頭に立って、過積載問題を解決するために取り組みを強めることを要望する。
事は県民の安全に関わることである。