浦添市で卸売業を営む企業を、うまんちゅユニオンの組合員であるAさんがこの程、残業代の不払いで刑事告訴しました。

この会社では、出勤時にはタイムカードを打刻させるのですが、退勤時には打刻することが許されません。

ユニオンは、会社と残業代支払いについて交渉してきましたが、交渉決裂となったため、刑事告訴に踏み切ったものです。

 Bさんは、突然会社から解雇されたのをきっかけに、残業代を請求することにしました。

ところが、退勤時にタイムカードを打刻させないのですから、会社にも労働時間を客観的に記録した資料はありません。

Bさんも、突然の解雇で退勤時間をメモして記録する暇もありません。

このような場合の、請求としては概ね下記の考え方で計算し、請求することになります。

遅くとも○○時までには出勤し、所定労働時間の終業時間後、少なくとも○○時間は残業していた。

一日の所定労働時間は8時間ですので、週6日働いた場合、そのうちの1日はまるまる残業時間となる。

日曜日に出勤すれば3割5分増し。

これらの考え方にたって、県労連で作成した残業代計算シートを使って、金額を計算します。

もちろん、金額は概算になりますので、請求する際には「金額はあくまで概算。会社にある客観的に労働時間を示す資料によって会社が金額を計算し、当方が納得できる場合には、請求金額を変更するにやぶさかではない」旨の一文を付記しておきます。

交渉のなかで、会社は有料道路料金所の通過時間が記録された資料を提出してきましたので、記録のある分については、その通過時刻を基準に判断することにしました。

この会社の所定労働時間は8時半から17時半までなのですが、ETCの記録でも17時半を過ぎて料金所を通過しているにもかかわらず、「午後の残業代の支払いは認められない」と回答してきたのには、あきれてしまいました。

ユニオンとしては、料金所通過時刻から、会社までの所要時間30分、帰社後の残業時間1時間、計1時間30分を会社が認めるならば、妥協点は見いだせると考えたのですが、会社は結局回答期限が過ぎても回答してこなかったため、自主交渉では解決不可能と判断せざるを得なくなってしまいました。

残業代を払わないのは、「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」と労働基準法では定められています。

そのため、刑事処分を求めて告訴したものです。

解雇問題についても、解雇は違法として労働審判に申し立てを行っています。

  残業代計算シートが必要な方は、こちらのページからダウンロードできます。