4月17日に翁長雄志沖縄県知事と安倍晋三総理大臣が初めて会談した。
5日の菅官房長官もそうだったが、今度の安部首相の発言にも相当の違和感を感じる。
「これからも丁寧なご説明をさせていただく」とは?
会談のなかで、安部首相は「これからも丁寧なご説明をさせていただく」と口にしている。
マスコミで報道されているうちから、該当部分を引用する。
普天間の危険性の除去、撤去はこれはわれわれも沖縄も、思いは同じであろうと思います。
その中においてわれわれといたしても一歩でも二歩でも進めていかなければならないという中におきましては、辺野古への移設が唯一の解決策であると考えているところでございまして、これからもわれわれ政府が丁寧なご説明をさせていただきながら、ご理解を得るべく努力を続けていきたいというふうに思います。
この発言のなかで、安部首相は「これからも」と言っている。
普通に考えると「これからも」という表現には、「これまでも丁寧に説明してきた」という意味が含まれている。
しかしながら、1996年のSACO(日米特別行動委員会)合意以来の19年間、第一次安倍内閣時や民主党政権時代も含めて、丁寧な説明をしてきていない。
今回の会談でも「辺野古が唯一の解決策」だという自分の結論を述べるだけである。
沖縄県民が知りたいのは、なぜ、辺野古が唯一の解決策なのかという、その理由である。
この点については、歴代総理のただ一人として、沖縄県民が納得する答えを口にした人はいないのである。
また、昨年の4回の選挙(名護市長選挙、名護市議会選挙、県知事選挙、総選挙)で県民が明確に示し続けた辺野古への米軍基地建設ノーの民意をどのように受け止めているのかということである。
丁寧に説明する絶好の機会に、それをしなかった安部首相
「丁寧に説明し、理解を得る」と本気で言っているのであれば、17日の会談は絶好の機会であった。
「沖縄の理解を得る」ということは、辺野古への米軍基地建設の反対する県民の理解を得ることである。
知事一人に飴玉をしゃぶらせ、サインさせれば良いというものではない。
そんな知事の「理解」に対してノーを突きつけたのが、知事選の結果ではなかったのか。
テレビカメラの向こうには沖縄県民がいるのだから、会談の場で、堂々と「丁寧なご説明」をすれば良いのである。新聞だって、発言全文を掲載してくれる。
しかし、安部首相はそんなことはしなかった。
映れば映るほど反対が広がるというのが安部首相の発想
安部首相は、翁長知事の発言途中で報道陣を退室させている。
これは強権をふるって工事を強行している安倍首相ではあるが、説明抜きの結論しか口にできない安部首相の自信のなさの表れである。
画になればなるほど、自分のみすぼらしさが映し出されることを恐れたのであろう。
小野寺五典元防衛大臣は、辺野古埋め立て申請書を提出するに際して、マスコミに載らないよう工作したことを明らかにした。そして、それは安部首相の指示によるものであった。
官邸やホテルで行わる会談の内容を、われわれ県民は直接知る機会は全くない。
その内容はマスコミの報道でしるほかはないのである。
マスコミをシャットアウトして、何を言っても県民には何も伝わらないばかりか、安倍首相の度量の狭さを晒すだけで、怒りと呆れしか伝わってこない。
いつになったら、安部首相は丁寧なご説明を行ってくれるのだろうか?
丁寧に説明したとしても、県民が納得して辺野古に米軍基地建設に賛成するという点に関しては、保障の限りではないが、少なくとも「ご理解を得るべく努力をする」というのであれば、口先だけに終わらさず、直ちに説明すべきであろう。
安部首相は4月28日(沖縄にとっては屈辱の日)に訪米するが、沖縄の民意を踏みにじり、日本のとっての屈辱の日にだけはしないことを祈りたい。