労働相談を受けていて感じることは、次のような問いかけが案外多いことである。

有休を使わせてくれないんだけど、これって普通なんですか?

早く出てこいと言われて、始業時間より早く出勤しているんだけど、残業代は出ないと言われた。それが常識なんですか?

常識か非常識か

普通か普通でないか

こんな問いかけである。

法律的にどうなんですか?という相談者はそれほど多くはない。

違法行為であっても、その違法行為が多くの企業でなされていれば、「それが普通です」との答えも成り立つ。

ですから、「常識か非常識か、普通か普通でないかの問題ではなく、法律の問題なんですよ」というところから始めなければならない。

また、仕事を取り上げられて窓際族(この言葉を理解できる人は少なくなったが)にさせられているのに、それがパワハラの典型的な事例であることも知らずに悩み続けている相談者もいた。

以前は、法律を調べようと思えば、お金を出して本屋で法律書を買うか、図書館で調べるかだったが、今はネット社会。検索すれば殆どの法律は調べることができる。大いに活用すべきである。

だから、相談の最後に付け加える。

「ネットを検索すれば法律はいくらでも出てくるので、せめて労働基準法については、ざっとで良いから目を通しておいた方がいいですよ」と。

全部覚えることは必ずしも必要ないですよ。私だって覚えているのはわずかです。ですが、何かの折に自分の労働条件について『あれっ、なんかおかしいな。そう言えばこんなことについて読んだ気がする。調べてみよう』という感じで思い起こせるだけでいいんです。

やはり、「知は力」です。