ロシアのプーチン大統領は、ウクライナが核兵器を開発しようとしている、米国と共同で生物兵器の開発がすすんでいる、などと侵略戦争を正当化しようと躍起になっている。

100歩どころか500歩譲って、仮にそれが本当だったとして、ロシアが軍事力を行使するのはやむを得ない。ウクライナに非があると言えるのだろうか?

また、逆に国境付近にロシアが大軍を集結させて、大規模な軍事演習を繰り返していた時に、ウクライナが、ロシアが攻めてくる前に、先に攻撃を仕掛けていたら、ウクライナが攻撃するにはやむを得ないことだったと、世界の人々は思うのだろうか?

答えはいずれも否だろう。

先に他国を攻撃する方が悪い、と考えるのが大方の見方である。

プーチンを暴走させたのはウクライナにも非がある、などという声に接することもあるが、思い起こされるのは田母神俊雄元航空幕僚長である。

彼は沖縄で起きた米兵による女性暴行傷害事件に関して「朝の4時に何をしていたのか」と発言している。

米兵にレイプされても、レイプ事件を起こした米兵を非難するのではなく、朝の4時に道を歩く女性を非難したのである。「朝の4時に歩くような女性はレイプされても仕方がない、身から出た錆だ」と言ってるようなものだ。

また、子どもであれ、大人であれ、いじめ事件が起きた時、いじめられるにはいじめられるだけの理由があるんじゃないか?、などと加害者を擁護するような声を聞くこともあるが、そのような論理(論理と言えるかどうか疑問だが)とプーチン擁護論が重なって見える。

繰り返すが、先に他国を攻撃する方が悪い!

これは二度の世界大戦を経て到達した地平であり、国連憲章にも書かれていることだ。

ところが、安倍晋三元首相以来、自民党・公明党の政権は、敵基地攻撃に執着し、そのために必要な軍事力を強化しようとしているのだ。軍事費をGDPの2%まで増やすべきだと。

NATOの東方拡大は安全保障上の重大事と、ウクライナを攻撃しているプーチンと同じことを考えているのだ。

敵基地攻撃とは、ある国が日本を攻撃しようとして、それに着手していると政府が判断すれば、先に攻撃してしまえということだ。

それが果たして、戦争は悪だとする国連憲章に合致し、国際世論に通用するのか?

日本の政治は、そのような危うさを抱えながら、核共有、核持ち込みまで突き進むのか?

そして国民はそれを許してしまうのだろうか?

夏の参議院選挙で答えを出す必要に迫られている。