法律の世界では「権利の上に眠る者は保護しない」ということが言われているようです。
そのため、権利があってもそれを行使しない場合には、権利そのものが消えてなくなることになるのでしょう。

未払い賃金などの労働債権について、労働基準法第115条は「この法律の規定による賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する」と定めています。

法律によって時効の始期をどのように考えるかの違いがあります。
「知った日から」とか、「請求した日から」などとするものもありますが、労働債権の場合は「使用者が支払わなかった事実」をもって開始されます。

例えば、賃金計算期間が毎月1日から末日まで、支給日が翌月の5日だと仮定しますと、5日に賃金が支払われなかった場合、その時点で時効は開始されることになります。
そうすると、4月分の未払い賃金の時効は2年後の5月5日、5月分の未払い賃金の時効は同じく6月5日に時効を迎えることになります。

年次有給休暇(年休)が翌年に限り持ち越すことができるとするのも、消滅時効2年にもとづくものと考えられます。