沖縄県労連は、4月25日、豊見城中央公民館で、「なくせ貧困!! 希望ある社会を」と題するシンポジウムを開催しました。
宮城常和県労連議長は「貧困解消、格差の是正は労働組合が力を入れて取組む課題。今日のシンポで、各分野における貧困とその表れを学び、今後の運動に生かしていこう」と呼びかけました。
シンポジウムでは、嶺間信一県労連事務局長をコーディネーターに、山川恵吉沖縄県商工団体連合会会長、山本隆司沖縄県教職員組合副委員長、西銘圭蔵沖縄協同病院院長、大城清美元豊見城市学校用務員の4氏が、それぞれの立場から報告しました。
山川恵吉沖商連会長は、「掃除用具のレンタル業をしているが、5年くらい前から、中小・零細の分野に、大手企業の参入が相次ぎ、商売がなりたたなくなってきている」と、中小・零細業者が倒産・廃業に追い込まれていることを報告しました。
そして、妻はパートで働き、自分も朝の2時間はアルバイトをしなければ生活できない状態で、長時間労働をせざるを得ない実態を紹介し、中小・零細業者が商売できる施策を国が実施すること、労働者の雇用の安定、賃金引上げが中小・零細業者の経営にも好影響を与えると述べ、労働者の待遇改善のたたかいに期待を表明しました。
山本隆司沖教組副委員長は、親の貧困・一人親家庭の増加などで、食事もろくに摂れない子どもが増え、栄養ある食事は学校の給食だけという事態が進行していることを報告しました。
昨年の学力テストの結果と照らし合わせて、生活保護世帯の多い学校と、少ない学校では成績の差が歴然としていること、子どもの進学率などの数値などから、経済的格差が子どもの教育環境に大きく影響していることを紹介しました。
そして、「親の経済的事情がどうであれ、それに影響されない教育」の必要性を訴え、そのモデルとしてフィンランドの教育事情を紹介ました。
豊見城市の元学校用務員の大城清美さん(自治体一般組合員)は、夫がなくなって、専業主婦であった自分が働かなければならない事情であること。学校用務員として働き口をみつけ、子どもを抱えての生活をようやく支えてきたのに、突然、一方的に学校用務員廃止を強行した豊見城市の、労働者使い捨ての姿勢を強く批判しました。
自治体一般でたたかってきた経緯も紹介し、「学校用務員は直接子どもたちに関係しないという言い分で、豊見城市は学校用務員を廃止したが、必ず影響がでてくる。豊見城市は一日も早く学校用務員制度を復活してほしい。そして再び用務員として働きたい」と訴えました。
西銘圭蔵沖縄協同病院院長は、実際に多くの患者さん診てきた体験から、お金がなく治療を断り、十分な医療を受けることができないまま、なくなってしまった事例を数件紹介しました。
ワーキングプア(西銘院長は"働いても貧困層"と表現)の増加、年収の低下など国民・県民の貧困がその背景にあることを指摘し、貧困とそれを生み出す者にたいするたたかいを進めるために、「反貧困ネットワーク」の必要性を強調しました。
その上で、「今は江戸時代ではない。命をかけた一揆は必要ない。たった一時間の投票で変えるのは可能」であることを訴えました。