適用除外は所定労働時間が週20時間未満の労働者

雇用保険法第6条は、雇用保険の適用から除外する者を次のように定めています。パートタイム労働者は、その第一号にあります。

(適用除外)

第6条 次に掲げる者については、この法律は、適用しない。

一 1週間の所定労働時間が20時間未満である者。

二 以下略

ここで大事な点は、「所定労働時間」です。実際に労働した時間とはなっていません。

所定労働時間とは、会社と労働者があらかじめ決めた労働時間です。

採用される時に、あるいは勤務途中で、例えば「1日4時間、週5日働き、それに対して会社は1時間につき○○○○円を支払う」と約束するでしょう。この「1日4時間、週5日」が所定労働時間です。

しかし、事情によって所定労働時間どおり働けない週があります。

この記事を書いているのは5月2日の土曜日です。

上記の週5日が月曜日から金曜日までの5日で、休みの日が土曜日と日曜日、国民の祝日だとするとどうでしょう。

今週は4月29日が昭和の日で祝日ですから、働く日は4日となります。

来週になれば、月曜日から水曜日までは祝日と振替休日になりますので、働く日は2日しかありません。

週20時間と決めても、年末年始の休日になっていたり、週に1日でも国民の祝日があると、20時間働くことはできません。

実際にキッチリ週20時間働けない場合であっても、所定労働時間が20時間であることに変わりはありません。

厚生労働者は、雇用保険の事務手続きで「『1週間の所定労働時間』とは、就業規則、雇用契約等により、その者(労働者)が通常の週に勤務すべき事とされている時間」であり、『通常の週』とは、祝祭日及びその振替休日、年末年始の休日、夏期休暇などの特別休日を含まない週」と示しています。

したがって、実労働が週20時間未満の週があったとしても、被保険者としての資格に影響を与えるものではありません。

新型コロナウイルスの影響等で休業とされ、月に1日も働けなくなった場合も同様

店舗のニリューアル大改装でお店は長期休業、それに伴い労働者も休業を命じられる場合もあります。

あるいは、病気になってしまい、長期間働けない場合もあるでしょう。

現在の、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業も長期化の様相を見せています。なかには休業が2月から3か月に及んでいる労働者もいます。

このように、1週どころか数週間にわたって全く働けなくなった場合でも、所定労働時間が変わるわけではありませんので、雇用保険の被保険者資格を失うことにはなりません。

店舗リニューアルや新型コロナウイルスを理由とする休業は、会社(個人経営の事業所であれば事業主)の指示による休業ですので、会社は最低でも労働基準法第26条に基づいて平均賃金の6割以上の休業手当を労働者に支払わなければなりません。

離職する際にはどのように離職票に記載されるか?

休業という事態が起きたあとに離職した場合、離職票にはどのように記載されるのでしょうか。

例えば、上記の1日4時間、週5日が所定労働時間の労働者の時給が1000円、ある月の所定労働日が22日と仮定し、20日働いたが、2日は休業で給料の全額を休業手当としてもらった場合は、賃金支払い対象期間の基礎日数は22日、賃金額は22日分の88,000円となり、備考欄に「休業2日、8000円」と記入します。

その月に1日も働いて日がなかったとしても、同じように、賃金支払い対象期間の基礎日数は22日、賃金額は22日分の88,000円と記載し、備考欄に「休業22日、88,000円」と記入すれば良いのです。

失業給付の受給要件は月11日以上の勤務が2年間で12か月

雇用保険の失業給付基本手当を受給することができるのは、一般離職者(65歳未満の方)の場合、離職日前の2年間に、月11日以上働いた月が12か月あることが要件です(雇用保険法第12条と13条)。

但し、長期休業して賃金を受けることができなかった月については、2年間を限度に加えることができます。

① 離職以前の2年間のうち、直近の1年間休業したとしても、残りの1年間が11日以上勤務していると問題はありません。

② 休業が1年半だった場合は、離職日前2年間では半年足りませんので、離職日前2年半に延長し、1年半前から2年半前までの期間に、11日以上勤務の要件を備える月が12か月あれば良いことになります。この延長期間は、次長により最長2年延長することができることになっています。

パートだって労働者 堂々と権利を主張しよう

パートだから休業手当は出せない。

パートだから年次有給休暇はない。

パートだから・・・・はない!

パートタイム労働者であるだけで、労働者としての権利を制限しようとする経営者が、案外存在します。

パートタイム労働者だって立派な労働者です。権利は保障されています。

あなたの権利を理不尽に制限されている方、又は制限されようとしている方は、全労連のフリーダイヤル 0120-378-060 までお気軽にご連絡ください。沖縄県内からの発信に対しては、沖縄県労連が対応します。

他の都道府県から発信される場合は、発信地の全労連加盟組合が対応いたします。