2007年7月頃の新聞に、派遣業のグッドウィルが、都内の労働基準監督署から違法残業の是正指導を受けたことが報道されています。

内容は、グッドウィルの36協定にサインした人物は、適正な手続きを経て選出された過半数代表者ではなく、会社が指名していた者であった。
そのため、労働基準監督署は36協定の効力を認めず、適正な手続きを経て選出された過半数代表者との間で、36協定を締結し直すよう指導した。

ところが、グッドウィルは新しい協定を締結しないまま一部の事業所で残業がさせていることから、違法残業であるとして、その是正を指導した。

という内容です。

このように、過半数代表者は、過半数労働組合のない職場では、大事な役目を担うことになります。

問題は、過半数代表者が適正に選出されているか、ということです。

過半数代表者を選ぶ方法として、労働基準法施行規則第6条の2、2号で「法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であること。」と定めています。

同条第1号で、管理監督者は過半数代表者にはなれないことになっています。
その趣旨は過半数代表者を選出する過程とその結果に、会社の意思が入り込むことを排除する点にあります。

ところが、過半数代表者を会社が指名している場合が、まま見受けられます。
労働者が誰も知らないうちに36協定が存在していることになっていたり、選挙をした事実もないのに選挙で選出したとされる過半数代表者が存在することになっていたり、あるいは誰も特定の人物を推薦していないのに、過半数の労働者から推薦されたという過半数代表者がいたりします。

このような適正な手続きを経ない者が過半数代表者を名乗って、協定を締結しても、その協定に効力はありません。