労働組合活動家必読の書

社会運動再生への挑戦

私は労働組合の専従者として生きてきましたし、今もそうです。
労働組合とは何か?
労働組合法的に言えば、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を主たる目的として組織する団体」となります。

労働組合が職場における労働者の要求から出発して組織され、職場要求の実現が主たる目的となるのは当然です。
しかし、労働組合の活動は「主たる目的」にとどまるわけにはいきません。

労働組合は「労働者の生活と権利を守るためにこそ存在」します。
労働者の生活と権利は、企業の中で経営者と交渉するだけで守られるものではないのです。
労働者の生活と権利を脅かすことに対しては、その相手がなんであれ立ち向かうことが求められています。
その対象は様々ですが、政治との関わりはとりわけ重要です。

わずかばかりの賃上げは、安倍政権のアベノミクスによる円安、物価上昇で帳消しにされ、その上消費税の大増税で実質賃金は低下しています。
賃上げがあってもそうですから、賃上げがなかった労働者はさらに生活が厳しくなっています。
安保、基地の問題も政治の問題と片付けることはできませんが、長くなるのでここでは言及できません。

労働組合運動とは組合員を寄せること?

労働組合が取り組む一つひとつの取り組みの全体と言えるのですが、その核心は突き詰めて言えば、ちょっと乱暴な言い方ですが人を寄せることに尽きると思います。
もちろん、労働組合が何を目標として掲げ、どんな段取りを経て、どんな運動を造ろうとするのか。
一つの取り組みを進めるためには、実に多くのことをしなければなりません。

そうであっても、やっぱり人を寄せることに尽きると、私は自戒を込めて思うのです。
どんなに立派な方針(実際はそれほど立派ではありませんが)をつくっても、それが組合員の心に響かなければ組合員は寄り付きません。
組合員が寄ってくる運動、別の表現で言えば「一人ひとりの組合員が参加する運動、全員参加の取り組み」をどうつくるか、なのです。

社会運動再生への挑戦

山田敬男労働者教育協会会長

労働者教育協会の会長である山田敬男さんの新著「社会運動再生への挑戦」は、労働組合に携わる人間にとって多くの示唆を与えてくれる書籍です。

労働組合については第2章「これからの社会運動のあり方を考える」で詳しく述べられています。
そうであっても、表題に示されるように、社会運動をどのように再生していくかが主題であり、その社会運動を担う一つの、大きな主体としての労働組合としての位置付けです。

著者は、「はじめに」で大要次のように述べています。
第1章に「最大の国民的課題・憲法を考える」を置いたことにたいして、「憲法をめぐる歴史的なたたかいが始まっています。どんなことがあっても憲法は守らなければならないという気持ちが強くあり、私は自分の人生をかけて、この改憲戦略とたたかわなければならないと決意しています。改憲戦略を打ち破るには、保守・革新などの政治的立場にこだわらない国民的共同の発展が必要です」

このような視点と問題意識から、政治的主体と社会的主体の形成という問題を提起し、二つの主体形成における相互関係を解き明かしています。

 安倍政権の暴走政治は、国民生活を苦しめるだけでなく、原発再稼働、戦争する国づくりなど国民の命すら危険に晒そうとしています。
そんな時だからこそ、よりよい明日の日本について考えるうえで、この「社会運動再生への挑戦」から多くをエられるでしょう。

沖縄県労連は、来る8月16日(土)午後2時から、豊見城市社会福祉センターで、著者の山田敬男労働者教育協会会長をお招きして、「勤労者通信大学オープンスクール」を開催します。
 演題は、① 安倍政権のめざす日本の姿
     ② 労働組合の役割とはなに?

勤通大オープンスクールには、どなたでも参加できます。
参加希望の方は、資料の準備の関係から15日までに県労連事務局までご連絡いただければ幸いです。