「終身雇用を守っていくのは難しい」(豊田章男自動車工業会会長)、「終身雇用なんてもう守れない」(中西宏明経団連会長)など、財界人の終身雇用に関する発言が続いている。

 日本型経営の“三種の神器”と言われた終身雇用、年功序列、企業内組合は、雇用の流動化や成果主義の導入などで崩壊の一途をたどってきた。

 この時期、終身雇用に関する発言が相次いでいることと、金銭解決制度の導入が無関係とは思われない。

 解雇の金銭解決制度の導入は、第一次安倍政権の時から狙われていた制度だ。昨年6月15日に閣議決定された「未来投資戦略2018」には、「解雇無効時の金銭救済制度について、可能な限り速やかに、法技術的な論点についての専門的な検討を行い、その結果も踏まえて、労働政策審議会の最終的な結論を得て、所要の制度的措置を講ずる。」と明記されている。

 解雇された労働者がはした金で救済できるのか!とツッコミたくもなるが、労働組合を狙い撃ちし、ますます“もの言えぬ企業社会”を作り上げる武器として活用することも、彼らの大きな狙いだろう。

油断は禁物である。