労災保険料を給料から引かれていないので、労災事故にあっても、社長から「うちは入っていない」と言われてあきらめたり、「会社が手続きしてくれる」まで、じっと待っている人はいませんか?

また、「社会保険を使ってくれ」と言われて、社会保険(健康保険)を使ったりしていることはありませんか?

実は、あんがいそんなケースがあるのです。

労災保険の保険料は、全額使用者負担ですので、賃金明細には労災保険料の欄はありません。

そして、労災保険の適用を、労働基準監督署に申請する申請者は、会社ではなく労働者自身です。
不幸にも労働者が亡くなった場合には、その遺族が申請することになります。

労働者が労災事故にあった場合、療養補償(病院にかかる費用)と休業補償(賃金の補償)が、大体の場合該当することになります。

療養補償の場合は治療した病院が申請します。
休業補償の場合には労働者が、申請することになります。

その申請用紙には、会社が押印する欄があります。
しかし、それは労災事故が起きたことを証明するものであって、決して申請者として押印するのではありません。
その欄に、会社がハンコを押してくれるかどうかが、その後の手続きがスムースに進行するかどうかに関わってはきますが、会社のハンコがなければ申請できないということではありません。
労災事故を隠すために、ハンコを押さない場合もあります。

会社がハンコを押してくれない場合は、その旨を労働基準監督署にきちんと述べましょう。会社のハンコは労災の申請に不可欠というものでもありません。
そうすれば、労働基準監督署が調査してくれるでしょう。
労災保険の申請用紙は、もよりの労働基準監督署にあります。
厚生労働省作成のパンフレットに掲載されている申請書の記入例をPDFにして掲載しますので、下の方にある請求人・申請人の欄(青い楕円形でマークしてあります)を注意して見てください。
労働者の氏名が記載してあります。

とは言え、入院中などで労働者が動けない時もありますので、会社が代行機能をきちんと発揮し、安心して療養に専念できる環境をつくっていくことも大切です。

一人ひとりの労働者が、会社に物を言うのは大変な勇気がいる場合もありますので、労働組合をつくってみんなで物を言うことが、個人の負担も軽くて済みます。